博士の愛した数式(小川洋子)



世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した――。著者最高傑作。

彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。
ルート記号の中に数字をはめ込むとどんな魔法が掛かるか、三人で試した日のことはよく覚えている――。
記憶を失った天才数学者と幼い息子を抱えて働く私の出会いと幸福な一年。
小説の奇跡とも言える、上質でせつなく知的な、至高のラブ・ストーリー。<ブックカバー印字>

主人公は、数学博士と家政婦、そして、家政婦の10歳になる子供の三人。
博士は、25年前に交通事故に遭い、その後遺症で80分しか記憶を保持できなくなってしまいます。
そのため、ひとりで生活できなくなり家政婦を雇い生活していました。
しかし、普通の老人介護のようにはいかない・・・博士の世話をするために雇われた家政婦は、朝、 出会うたびに自己紹介をしなくてはいけない。
それは、博士が80分しか記憶を保持できないから・・・。 それが彼の家に通う家政婦がすぐに辞めてしまう原因でした。

そして、ある日。主人公である家政婦が博士の家に訪れます。
生活の中で、博士は自分が心から愛している数学について、ルートと彼女にいろいろと話してくれます。
そして、二人だけが、今までにいた人と違って、博士の言葉に耳を傾けるようになっていきます。
普通の人にはない感性を持っている博士を二人が信用するようになったのは、 子供に対する彼の限りない愛情のためだったのかもしれません。 それは、彼が数学に対するのと同じ種類の愛情のようでした。
美しいものを純粋に愛することができる人が、その愛情をそのまま人に向ける姿を見るとき、 そんな日常の中にこそ、美しいものがとても多くあることに気付かされます。
そして、博士が愛するこの世でもっとも美しい公式の一つとして挙げられているオイラーの公式 exp(iπ) + 1 = 0 これが 家政婦を数学の世界にも引き込んでいきます。


作者紹介
小川洋子(おがわようこ)
1962年岡山市生まれ。
早稲田大学第一文学部文芸科卒業。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。
1991年「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。

主な著作:『冷めない紅茶』『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』 『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『貴婦人Aの蘇生』『偶然の祝福』『まぶた』など





「青少年読書感想文全国コンクール 高等学校の部課題図書」になってるんですねぇ!!
私が買ったときはそんなこと書いてなかったからちょっとびっくりしました。

博士は思い出を作っても忘れてしまう。
とても大事なことですら忘れてしまう。
そして年老いた博士の命は限られている。
こんな博士に、一緒に住んでいるお姉さん(実際のお姉さんではないんですが)はあまり他人を博士に深く関わらせようとしません。
すぐに忘れ去られてしまうであろう一瞬であっても 主人公のお手伝いさんと息子ルートは 大切に過ごしていくんですが、それは博士にとっては何の影響もないことで、明日になれば忘れてしまっています。

こんな切ない仕事は絶対私出来ませんよ・・・。
毎朝、同じ人に「私は○○という者です。家の手伝いをさせてもらいに来ました」なんて絶対言えないです。
こんな家政婦やその息子にこの本を読んで感動するところは多くあると思いますが、 博士のちょっとした行動が私にはとても感動的でした。
数学博士の彼は愛するものには自分が持っている全ての愛情を何の見返りもなく、純粋に注ぎます。
数学と子供を愛する彼は家政婦の息子ルートに数学の楽しさを教えます。

この本の中には数学のことがたくさん出てきます。
難しいことも出てきますが、そういうところはさらっと流して読みました。オイラーの公式なんて解らないし(笑)
でも、数学の面白さもしっかり伝わってきます。

すぐに読めてしまう本なので少し暇になったときにでも読んでほしい本です。


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